子宮の病気

子宮の病気

女性らしさをつかさどる子宮を守っていきましょう。

 子宮とは、妊娠時に体内で子供(胎児)を育てるときの入れ物となる女性だけが持つ器官です。子宮がんは、子宮内ががんに侵されるものですが、現在、がんの中でも特に子宮頸がんは乳がんと並んで早期に発見でき、完治するがんの部類に入ります。だからこそ、定期的な検診を受け、早期発見をすることが重要です。

伸縮性のある筋肉でできた袋のような子宮

大きさはニワトリの卵ほどで、膀胱と直腸の間にあり、骨盤の底の部分に固定されています。子宮の左右には親指ほどの卵巣が連結し、子宮腔は卵管とつながっています。


原因も、性格も、できる位置も異なる2種類ある子宮がん

子宮頸がんと子宮体がんがあります。

子宮頸(けい)がん

CMなどで目にする子宮頸がんとは?

子宮頸がんとは子宮の入り口部分に出来るがんをいいます。進行すると子宮のまわりの臓器の摘出だけでなく、妊娠や出産の可能性を失ったり、命に関わる事もあります。 今20代~30代の発生が急速に増えている事が問題になっています。定期的に健診を受ける事でがんになる前に発見し、子宮を失う事なく治療できる病気なのです。


原因はウイルス! だから誰にでもなる可能性があります
ほぼ100%がヒトパピローマウイルス(HPV)が原因!!

子宮頸がんの原因は、ほぼ100%がヒトパピローマウイルス(HPV)です。ただし、感染した場合も初期には全く自覚症状が無いため、自分で気付けないのも特徴の1つです。
不正出血やおりものの増加に気が付いた際には、すでにがんが進行しているケースが少なくありません。今では世界100か国以上で予防ワクチンが使われています。

女性の80%が一生に一度感染

HPV自体は、性交渉のある女性にとっては一般的なウィルスです。一度感染しても、90%が自然に排除されます。ただし、感染予防の免疫は得られないため、何度でも繰り返し感染します。何らかの炎症から排出されなかったウィルスの感染が長期化し、前がん病変(※がんになる手前)を経て、がん化すると言われています。

HPVは100種類以上! 子宮頸がんの原因である発がん性HPVは、その中の15種類。その中の発症の7割を占めるハイリスクグループのHPV16型とHPV18型と呼ばれる2種類に感染している場合は高率にがん化します。

子宮頸(けい)がんの現状を知って、自分の身体を守ろう!
20代~30代の女性特有のがんの中で発症率が1位

若い人に急増している子宮頸がん。20~39歳までの女性特有のがん発症率を見ると1位:子宮頸がん、2位:乳がん、3位:卵巣がん※となっています。性交渉の経験のある人なら誰もがかる可能性のある病気です。だからこそ20歳を超えたときが検診の適齢期。まだ検診を受けた事のない娘さんへのお母さんからの勧めも大切なのです。
※上皮内がんを含む(国立がんセンターがん対策情報センター、人口動態統計より)

日本でも1日に10人が子宮頸がんによって亡くなっています

いま全世界で約27万人、日本では1万5千人(上皮内がん含む)もの人が子宮頸がんと診断されています。女性としても主婦としても母としても輝ける時期の社会的損失となります。

子宮体(たい)がん

子宮の奥にできるがんです。子宮内膜を増殖させる卵胞ホルモンの過剰分泌が原因のひとつと考えられます。発症率のピークは50~60歳、主に閉経後が多いといわれ、ほとんどの子宮体がんで月経以外の出血がみられます。皮下脂肪の多い人や出産経験のない人、不妊症治療を行っていた人はなりやすいといわれています。
 ※子宮体がんの検査は、子宮体部細胞診や頸腟エコーがあり、希望により検査できます。


大丈夫!! ほぼ100%防ぐことができます

予防対策 前がん状態で発見!

20歳になったら年に一度の定期検診を

子宮がん検診の流れ

問診・視診

事前に記入した問診表をもとに必要に応じて話をした後、内診台に上がり、子宮頸部や腟の内部を調べます。

子宮頸部細胞診

内診台に上がった状態で、子宮頸部を専用ブラシや綿棒で軽くこすって細胞をとります。痛みはほとんどありません。

経腟エコー

内診台に上がった状態で、細い超音波器具を腟内に挿入して、はね返ってくる超音波を見ながら子宮の状態を調べます。

他の子宮系疾患もわかる 経腟エコー

超音波によって子宮内が画像化されるので子宮筋腫や子宮内膜ポリープなど、子宮がん以外の病気も発見できます。また卵巣の状態もよくわかる検査で、卵巣腫瘍などもわかります。女性には大事な検査といえます。
不妊症の原因ともいわれる多嚢胞卵巣もわかります。若い人でも、検診で1週間に1人は発見されています。

精密検査
(細胞診検査で異常があった場合)

将来がんになるかも知れない、異形成があった場合、再検査となります。改めて疑わしい部位の細胞を採取したり、HPV-DNA検査、拡大鏡検査や生検を行います。